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築200年の蔵改修物語・その4

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今回は蔵の下屋屋根材のお話しです。

築200年の蔵の既存下屋屋根は、

銅板葺きで見事な緑青が吹いてして素晴らしいものでした。


当然、それを活かしたいと思いましたが、

考えておかなければならないのが樋の問題です。

現状の樋は、塩ビ製の半丸樋でしたが、

劣化が進んでいました。


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加えて下屋屋根の一部に雨漏りによる腐食と

タル木や桁にも、一部腐食がみられました。

当初から、柱と方杖は入れ替える予定でしたが、

既存タル木部は一部腐食部の取り替えと

補強タル木を両側から添えて補強し、

さらに軒先を延長して雨掛かりを抑える設計としていました。


現場の進行の中で、それなら躯体を解体して

軒桁は腐食部のみ取り替えて再利用して、

タル木を新規にかけ直した方が施工も早く、

補強タル木を転用できるので、可能とのことになり、

下屋全体を再構築しています。


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話を樋に戻します。

蔵の構造補強と外壁補修で生まれ変わる蔵の外観。

そこに既存銅板屋根が合うことは間違いありません。

しかし、そこに塩ビ製樋では

蔵全体の質感の釣り合いが取れません。

そうなると銅樋ということになりますが、

蔵本体の瓦屋根の樋も、塩ビ製から銅板樋へ

替えるとなると、

はたして樋にそこまでコストを掛ける必要があるか?

ということになります。


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今回は、塩ビ製樋から私の設計スペックである、

タニタハウジングウェアのガルバリウム鋼鈑樋の

スタンダード半丸を使用します。

https://www.tanita-hw.co.jp/product/37/


しかし、ガルバリウム鋼鈑と銅板を同時使用することは、

金属イオン化傾向による電食を誘発する

可能性があるので、避けたいところです。


下屋の構造躯体の取り替えとガルバリウム鋼鈑平葺きに

ガルバリウム鋼鈑樋という組み合わせが、

全体の質感とコストのバランスが良いと判断しました。


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しかし、この銅板を単に廃棄するというのは、

この上ない罪なことと感じておりましたが。。。

と、ちょうどその頃にポツンと一軒家と

大改造!!劇的ビフォーアフターの初コラボ番組で、

静岡・諸子沢の古民家リフォームをおこなっていたので、

そこに転用するお話しを建主さんにしたところ、

快く受け入れくださり、

私の教えている静岡産業技術専門学校のご協力と

建築科の学生たちに手伝ってもらって加工・取付をおこなう

というタイミングバッチリの提案をおこない、

築200年の蔵の銅板が築150年の古民家リフォームに、

若者の力で受け継がれるという物語ができあがりました。


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〇ポツンと一軒家・大改造!! 劇的ビフォーアフター番外編1銅板再生編

https://atelier-m-architects.at.webry.info/202004/article_1.html


〇ポツンと一軒家・大改造!! 劇的ビフォーアフター番外編2学生奮闘編

https://atelier-m-architects.at.webry.info/202004/article_3.html


こうして、銅板を無駄にすることなく、

築200年の蔵の下屋屋根も再生することができました


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 ・・・どうも、ありがとうございました。


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by atelier-m-archi | 2021-01-15 01:32 | 蔵のリフォーム | Comments(0)